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小学校から終わると、その公園で時間を潰して帰るのが日課だった。

季節が秋から冬へ変わるころ。空気は澄み切って冷たい。
学校ではテレビゲームが流行っていて、公園で遊ぶような子どもは僕だけだった。

その頃の僕は、砂場で遊ぶのが好きだった。
延々と砂をかき集め、大きな山を作る。そして、蹴りつけて壊す。そんなことを、飽きもせずに繰り返していた。
何度目かの山を作ろうとしたとき。砂の中に突きいれた手が、何か柔らかいものに触れた。

息をひそめて、もう少し、触ってみた。少し湿っていて、冷たい。
まさぐっているうちに、一部がちぎれて僕の手の中に残った。

手を引き抜いてみる。黒く変色していたが、それは確かに、人間の指だった。

僕は砂場をきれいに均して、公園を後にした。
家に帰っても誰もいないことは分かっていたが、寂しいと感じることはなかった。

あの公園の砂の中に、人間が一人いる。
そう思うだけで、おなかの底が少し暖かくなり、孤独感はきれいに消え失せてしまうのだった。


今では、公園は取り壊されて、地面はアスファルトで覆われている。
僕はあのときに手に入れた指を、いまでも大事に持っている。


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病室に特有の、つんと鼻をつく消毒液のにおいに、最近ようやく慣れてきた。
病室内に余計なものは置かれておらず、視線を休めるところがない。
ベッドに横たわったまま、スバルは窓の外に視線を向けた。

3月の空はどんよりと曇り、今にも泣きだしそうだった。
病院の中庭にも人影はなく、スバルは仕方なく病室内に視線を戻した。

近頃はいつも、退屈を紛らわせるのに苦労する。

だれかこないものかと、ドアを凝視していると、ノックの音がした。
続いて病室に入ってきたのは、同期のキョウコだった。
「やあ。元気?」
片手をあげ、気楽に言う。
「元気なわけないじゃん。入院してるのに」
スバルは答えた。話し相手ができたうれしさが、声色に出てしまう。

「退屈してるんじゃないかと思ってね。様子見に来たの。あまり居られないんだけど」
「ぶぅ・・・」
「ふくれないの。お土産もってきたんだから」

キョウコは手に提げた袋の中から、紙の包みとプラスチックの板を取り出した。
「なにそれ?」
「粘土」
「えぇ・・・なんでまたそんなものを?」
「いや、気に入るかな、と思って」
長い付き合いだが、キョウコの感覚はいまいちよくわからない。

「いいからやってみなって。小さいころから訓練ばっかりで、こんな遊びみたいなこと、やったことなかったでしょう?」
キョウコは包みを開け、ねずみ色ののっぺりとしたかたまりを取り出した。プラスチックの板の上に置く。
「やってみるけどね。ヒマだから」
粘土のかたまりに手を触れてみる。初めて触る粘土は、ひんやりとして柔らかく、優しい感触がした。

「うん。手を動かしてれば、きっと余計なこと考えなくてすむよ」
「適当なことばっかり」
粘土から手をはなし、キョウコに視線を向ける。今はキョウコともっと話がしたかった。

「ごめんね。明日の演習の準備があるし、もう帰らないと」
すがるようなスバルの視線を感じたのか、キョウコは視線をそらして立ち上がった。
「じゃあ、また来るから」
スバルの返事を待たずに、部屋から出て行った。

「薄情者・・・」

病室の中には、スバルと粘土だけが残された。一度手を触れてみる。さきほどよりも冷たく感じられた。
「夢の中で納得した論理を思い出そうとしたが、とても再生して組み立てることができなかった。
確かに理屈が理解できたと感じたはずなのに、反芻してみるとどこにも確かな手ごたえはなかった。
それどころか、紅茶に沈んだ角砂糖みたいに、急速に拡散していく。」
『黒猫の三角』 森博嗣より抜粋。

夢の内容を思い出してみると、奇妙に論理的なことが多いです。「ああ、だからこうなったのか」とひざをたたいて納得する感じなのですが、論理を組み立てるベースが現実とは異なっている感じ。

うまい例が思いつきません。とりあえず、アニメのひだまりスケッチでは、奇妙に論理的な夢が描写されてて非常に面白かったです。






どこかで読んだ本に載っていた心理学の実験です。
何人かのグループを二つ作って、それぞれに同じ漫画を読ませる。
片方のグループの人々は、鼻と唇の間にペンを挟んで読む(→面白くなさそうな顔になる)。もう片方のグループは歯の間にペンを挟んで読む。

読後感を調査すると、歯の間にペンを挟んだグループの方が、漫画を面白いと感じるそうです。
笑顔をつくったほうが、面白く感じる。

こころはかなりいい加減。感情は一瞬の幻。

しばらく前に、「スケッチブック」小箱とたん に出ていたネタですが、語尾に「~大作戦!」をつけると、なんとなくテンションが上がります。

たとえば、「自転車で登校大作戦!」とか「定時で帰宅大作戦!」とか、「ブログ更新大作戦!」とか。

これのバリエーションで、語尾に「~プレイ」を付けて深刻さや照れくささを軽減する方法もあります。これは「絶対好きになってやる!」みうらじゅん の中で書かれていた方法です。

こちらの例は、「失恋プレイ」とか、「親孝行プレイ」とか。
今考えたけど、「親孝行大作戦!」というのもテンション上がりそうだなあ。「失恋大作戦!」は下がるけど。

先日、この手法を友人に話したところ、軽く馬鹿にされました。傷つきやすいガラスの三十代です。



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